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2013年6月20日 (木)

富山「銀鱗」閉店に想う

先日、朝刊を広げた瞬間、

富山市の割烹「銀鱗」が20日閉店!の見出しが目に飛び込んできて

とても驚いた!

Photo

「銀鱗」へ初めて行ったのは、十数年前・・・・・

 酒蔵を移築した重厚な店構え、京都から移築したという朱色の塀、

 さも自然に植えられた木々や花々、手水鉢から溢れる水・・・・・・。

 店内へと導く大きな石がはめ込まれたアプローチを歩いてゆくと

 いけす をグルリと囲んだ、大きく重厚なカウンターが目に飛び込んできて、

 「うわー、すごーい!」と思わず声をあげたのを覚えています。

 (いけす の中ではイカや鯛がス~イスイ♪)

 

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壁に掛けられた富山の鬼才-篁牛人(たかむらぎゅうじん)の大きな水墨画。

冴え冴えとした青壁。

数え上げると まだまだ沢山ありますが、

細部までこだわった造りに、ただただ驚きました。

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お昼の定食を頂きましたが、とても美味しくボリュームもあり、

一度に大ファンになってしまい、以来、

富山へ行ったら食事は「銀鱗」が定番となりました。

 

ある時、「ちょっと隣を見せて頂いてもいいですか?」とお願いすると、

嫌な顔ひとつされず

「どうぞどうぞ」と、社長様自ら隣接する別棟を案内して下さった事がありました。

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別棟は広いスペースに水苑を造り、友禅流しさながらに反物が浮かべ、

大きな新緑の紅葉が斬新に活けてありました。

周りには趣の異なったお座敷が点在し、太鼓橋を渡ってお部屋へ入るという心躍る演出。

(採算性を第一に考える人ならば、近いところに大きな宴会場をつくるでしょうに・・・・)

 

近年、味気ない積み木のような箱物の店が多い中、

こんな遊び心溢れる本物を目指したお店が閉じてゆくなんて・・・・・・寂しい。

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新聞に大きく「閉店」と掲載されたコトで、大勢の客で大混雑・・・・とは予想しつつ、

(普段は時々しか行かないのに・・・・私も含めて、人と言うのは勝手なものです)

さりながら、「銀鱗」の名の元、

意匠を凝らした店内が見納めだと思うと行かずにいられず、

予約の無かった先日、家族で出掛けました。

 

感謝セールをいうコトで、ワンドリンクサービス、

店員さんのお勧めのコースを注文すると、食べきれない程

次から次へと料理が運ばれてきました。(美味しかった)

 

何度となくお会いして印象に残っている仲居さんが、

「私の顔を忘れないでね・・・・・」と呟くように話しました。

・・・・・・・・言葉の奥にある沢山の想いが痛い程伝わってきて、

グッときてしまいました。

 

店には次々と馴染の方が、(おそらく私達同様)

閉店を惜しむように訪ねて来ます。

 

帰り際、ささやかなお土産を持っていった私に

女将さんが 満寿泉生純米吟醸 をプレゼントして下さいました。



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握手すると

「生涯現役でやりたかったんだけどね・・・・・」と話されました。

心の中で「やってほしかったです」と呟きながら、

「ありがとうございました」とお礼を伝えました。

 

私のような弱輩がおこがましいと思いますが、

激戦区、富山市中心部にあって

43年もの永きに渡って個性あるお店を続けた努力は

間違いなく称賛に値します。

 

「富山へ来て新鮮な魚が食べたい時は銀鱗!」

間違いなく、多くの人々に愛されていたお店でした。

多くの事を教わりました・・・・・・私は忘れません。

社長様、女将さん、スタッフの皆さん、お疲れ様でした。

本当にありがとうございました。

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